(1)「中間層」に関する先行研究の収集・整理を行なった。その中心は無論唐宋変革期に関するものであるが、清末〜民国期の研究にも重要な研究があるので、それも整理した。 (2)『清明集』を中心とする史料の分析を行なった。特にこの数年来続けてきた『清明集』懲悪門の訳注作成の作業を完結させることができた。その結果、南宋期に活動していた中間層のうち、いわゆる豪民層の実態がかなり詳細に把握できた。それは、従来地主層と規定された階層であるが、地主という属性でのみ把握することは全く不十分である。今後概念規定を再検討せねばならない。 前項の「中間層」が社会の中核となって存在し、また国家機構の末端に地位を占めた結果、社会における人間関係の基本的特性もこれを中心に構成されてきた。「金と権力がすべて」という現代中国の民衆の指向は実にこの延長線上に存在することが推測できる。
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