研究概要 |
『米国司法省調査ファイル,第1部:IWW』とアメリカ社会党,IWW各機関誌(いずれもマイクロフィルム)を購入し,重要箇所を大量に印刷したうえで読み進んだ。これによって1915〜18年のリュトヘルスの滞米中の活動に関してもれていた調査を果たすことができた。そして,その調査を踏まえ,既に公表済みのリュトヘルス研究の前半部(第1次世界大戦前夜から1918年夏まで)の改訂原稿を完成させた(400字詰原稿用紙約850枚)。その公刊をめざし,ミネルヴァ書房の内諾を得て,平成7年度一般学術図書計画調書を文部省に提出した。 続くリュトヘルスの後半部の研究も進み,1918年夏から秋にかけてのウラジヴォストークからモスクワまでのリュトヘルス一行の横断行の追跡調査を,主として社会史国際研究(アムステルダム)所蔵のリュトヘルス文庫史料並びに『プラウダ』,『イズヴェスチャ』および『トリビューネ』(ロシア語・オランダ語各機関紙)を使って終えた。それをまとめた論文(約138枚)も平成7年2月に完成し,目下印刷中である。本稿によってリュトヘルス研究の空白を埋めることができたとともに,リュトヘルスがモスクワへ持ち運んだ日本社会主義者の決議と書簡についての新たな分析も果たしえた。 更に最新のオランダ並びに国際社会主義運動関係の図書並びに博士論文も購入でき,最新の研究成果をフォローしながら,続く追跡調査のための予備研究にも着手できた。
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