本索引は近世の人物叢伝に掲載された、近世の学芸家を中心とする人名索引であり、対象とした28点の叢伝資料から得た人名は4075名(延べ6125名)に上る。本索引によって、各人名を所掲する主要な叢伝資料を一覧することができ、近世学芸家研究の第一歩において、きわめて便利な情報が提供されることになろう。 対象としたのは、近世後期に成立し、近世の人物の収載を主とする人物叢伝が中心で、『近世畸人伝』『当世痴人伝』『名家略伝』『百家〓行伝』等の奇人伝系、『先哲叢談』『先哲像伝』『近世叢語』等の儒林伝系をはじめとして、『歌林一枝』『俳家奇人談』『狂歌人物誌』『近世物之本江戸作者部類』『浮世絵類考』『皇国名医伝』等、歌人、俳人、狂歌師、戯作者、学者、医者、絵師その他の学芸家を幅広く収載するものである。ほかに儒家を中心とする碑文資料として、『事実文編』と『史氏備考』の二編を収録したが、そのうち後者は従来、あまり活用されて来なかった、大部な未刊資料であり、近世学芸家研究に資するところが大きい。 本索引は、はじめに対象とした28点の叢伝資料一覧を掲げ、ついで、全人名を五十音順に配列した索引本体を載せる。各人名項目は、名号と叢伝資料名および巻数等からなり、各号については、『国書総目録』に準拠して、その統一を図ることに意を用いた。今後は、さらにすべての名号から検索できるよう、索引を整備して、国文学研究資料館の『調査研究報告』に公表し、広く研究者の活用に備えたい。
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