研究課題/領域番号 |
06610423
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
中国語・中国文学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
荒木 猛 長崎大学, 教養部, 教授 (70125491)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1995年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1994年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 明代口語小説 / 金瓶梅 / 創作手法 / 執筆時代 / 素材 / 戯曲 / 作者 / 読者 / 明代長篇口語小説 / 四大奇書 / 小説と戯曲 / 原作と続作 / 借古喩今の作風 / 小説と史実 |
研究概要 |
明末清初の文人で戯曲と小説の両分野で活躍する人が多く、同一題材のものを一方で戯曲にしつつ、他方で小説にもしたりした。本研究は、「金瓶梅」と関連が深いと思われる戯曲本体の分析ならびにそれら戯曲と「金瓶梅」との関係の考察とから、「金瓶梅」の作者が真に描きたかった事柄とは何かを明らかにしようとしたものである。以下に、簡単に研究成果の概要を記しいた。 まず、作中に登場する人物の死亡日時に関する干支の記載から、この小説は、嘉靖末年から隆慶にかけての十数年間をかけて書かれたものであろうと推定した。また、作中、歴史上実在した人物の名前が書き加えてあり、しかも宋代の人と明代の人とを混ぜている。また、「金瓶梅」のプロットは、そもそも「水滸伝」中の武松物語に依存しており、「金瓶梅」の素材に占める「水滸伝」の比重はすこぶる大きいが、中でも「金瓶梅」中の駢語の中には、「水滸伝」中の突調子もない部分から読者の意思をつく形で引用されていることがある。これらの事実は、この小説の作者が、この小説を単なる好色本として見ていたであろう広範な読者層の外に作中に歴史上に実在した人名が盛り込まれていることの意味の判る高等な読者や、「水滸伝」からの意外な駢語の引用によるおもしろさが判るマニヤ的読者層をも想定していたことを意味する。同じことがこの作者が作中に込めたであろう政治諷刺についても言えることである。明代の読者のうち判る人には判ったであろうこの作品における政治諷刺とは何であったのであろうか。実は、「金瓶梅」と同じく、王世貞ないしその門人の作とされる戯曲に「鳴鳳記」というものがある。また「続金瓶梅」と同一作者の手になる戯曲に「表忠記」なるものがある。この小説と戯曲、更に原作と続作との関係から、「金瓶梅」に投影された時代は、嘉靖時代であり、作者は、恐らく楊継盛の事件に特別な感情をいだいていた人物だったであろうと推定した。
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