1.答志島答志の寝屋(ネヤ・ネンヤ)制度は、大変古い歴史(百年以上前)を持つ。 若者宿である寝屋には、中学卒業(満十五歳)と同時に入り、二十七歳まで泊まり続ける。 しかし、まだ独身の場合は、結婚するまで泊まり続ける。寝屋子の組織は、五.六名位で一間を借りて一同が寝泊まりする。昔の寝屋は、年齢に上下があったが、今は同級生である。自宅で食事を済ませてから寝屋に泊まる。寝屋親は、寝屋子に礼儀作法など厳しい躾をしたり、心の悩みの相談を引き受ける。 2.「生ける法」は、単なる観念上の存在ではなく、『人間の社会行動を現実に決定する規範』であり、また、「生ける法」の法的性格は、支配・服従関係を体現する限りでの非公式の社会統制であること。 答志島答志では、学校を卒業すると、男子なら必ず寝屋に入ることが常識とされていた。」 これは、まさしく、「人間の社会行動を現実に決定する規範」なのであり、支配服従関係を体現する限りでの非公式の社会統制である。すなわち、「生ける法」である。 3.「若者組」は、伝統的文化に基礎づけられた独自のシステム特性が見出される。 「日本型組織」形態の一つのモデルである「若者組」の内部秩序は、「年輩序列」の原理により、厳しく統制されている。 4.「日本型システム」の特性、(1)日本型システムの人間的基盤は、「関係体」としての「間人」という新たな人間モデルに求められる。(2)「間人主義」の価値観は、「相互依存主義」、「相互信頼主義」、「対人関係の本質視」である。(3)日本社会の伝統的な基層をなす社会システムは、「間人」と呼ぶことが適切である「関係体」を成員とし、彼らに全面的な帰属と生活の場を提供する、高度に自律的・自立的な組織である。 5.「間人主義」の価値観が、「若者組」のシステム特性と、どのように関わるのか? このことについて、今後、分析・検討しなければならない。
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