研究概要 |
本研究は、萌芽的研究として,自治体のスポーツ振興行政の法的問題について、実証的な研究として広島アジア大会における法律問題の解明、およびドイツとの比較法的研究という,二つの研究目標を追求してきた。 ドイツとの比較法的研究としては,既に簡潔にまとめた。この研究において知見したことは,ドイツでは,(1)スポーツと憲法との関係が,とくに国家からの自由との関連において詳しく論ぜられているということ,(2)公の手によるスポーツへの補助の現状,さらに(3)地方団体によるスポーツ振興行政とプロスポーツとの関係に対して,積極説と消極説があること,および(4)地方団体によるスポーツ振興行政と地域振興に関する問題点,等である。 次に,自治体のスポーツ振興行政の実証的な研究として広島アジア大会における法律問題の研究を目指した。広島大会における法律問題の資料収集についてはかなり成果を挙げ,かつ,広島大会独自の特徴点をいくつか挙げることができるが,これらについて総合的かつ理論的に分析し,可能な限り早期に公表したい。 なお,地方団体によるスポーツ振興行政の問題点について,日本とドイツとを比較することが研究の目標の一つであるが,(1)日本ではスポーツと憲法との関係がドイツほどには詳しくは議論されていないこと,(2)ドイツでは経済振興との関係について,法的な限界につていも厳密に論議されているが,日本では,いまだそこまでには至っていないこと,等を知った。これらについても,早期に理論的にまとめて,公表したい。
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