研究概要 |
本研究においては、日本、米国の製造物責任の法律理論および個別判例を通して「製品安全基準」の構築を試みた。(1)まず、日本および米国連邦・州の判例から起訴の対象となった製品、部品、原材料等を洗いだした。(2)次に、法律理論別に判例を整理、研究した。これにより『欠陥概念』を明らかにし「製品安全基準」の構築を試みた。(3)ここでは、欠陥を分類することにより製品安全の基準の類型化を試みている。つまり(イ)設計上の欠陥の判例、製造上の欠陥の判例、警告・取扱説明書上の欠陥の判例に区分して研究した。(ロ)製造物責任問題を難しいものにしている次ぎの重要な要素との関連において判例を研究することを通して「品安全基準」を構築している。(a)『企業は技術の限界との関連において自らの製品・部品・原材料を技術的にどこまで安全なものにしておかなければならないのか』技術水準(state of the art)の法理論、開発危険(development risk)の法理論、明らかな危険(patent danger)の法理論,(b)『企業は経済社性の限界との関連において自らの製品・部品・原材料の安全性の確保のためにどこまで金をかけなければならないのか』,(c)企業は『警告の限界と関連において自らの製品・部品・原材料の安全性の確保のために、どこ間での警告をしておかなければならないのか』(ハ)第三のアプローチは、使用者による製品等の取扱いの態様からの欠陥製品事故の判例を見て、欠陥概念を明らかにしている。誤用(misuse)の法理論、危険の引受(assumption of risk)の法理論、寄与過失(contributory negligence)の法理論等。本研究の実施期間において別項の関連著論文を発表したが、『製品安全基準』の構築のためにはさらに引き続いての本研究の実施が必要で、今後とも国内外の新しい判例を通して本研究課題を追い求める所存である。
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