研究概要 |
代数群の表現論として,特に代数幾何学の方面の研究をおこなった。完備な代数群として,アーベル多様体を取りあげ2次元のとき,次に述べる様に詳細に研究した。アーベル多様体上の有理関数全体のつくる体の,ガロワ中間体をすべて決定した。まずそのガロワ群は可解であることや,それらの位数を決定した。次にその中間体を決定しなければならないのであるが,それを分類する体の言葉が存在しないから,その体を表現すると考えられる,その体を有理関数体として持つ代数曲面を求めることで行った。これらは複素表現と固定点の条件でほぼ完全に記述され,K3曲面,超楕円曲面,エンリケス曲面,有理曲面など現れる。しかし大抵の場合は,有理曲面である。幾つかの興味深い現象が発見された,例えばエンリケス曲面を与える複素表現はクラインの四元群と位数8の二面体群しかないことや,位数が24より大きければ中間体は有理的であることなどである。また中間体が有理になるもので,位数が一番小さいものは3であり,このときはアーベル曲面は,二つの楕円曲線の積になっている。 その後,上述の最後の事実に注目して,二つの楕円曲線の積であるアーベル曲面について詳しく研究した。特にその上に種数3の非特異曲線が存在するかどうかを研究した。種数が2のときはアーベル曲面はヤコビ多様体になる訳であるが,このときはすでに林田・西によって完全にわかっている。我々は種数3のときもほぼ完全に研究した。ちなみに種数3の曲線が存在するとそのアーベル曲面の非有理次数は3であることがわかる。
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