研究概要 |
頂点作用素代数の出発点となった有限位数の散在型単純群26個のうち最大位数をもつモンスター単純群とフレンケル,レポウスキー,ミュアマンによって構成されたムーンシャイン加群(頂点作用素代数)との関係は今でもいくつもの神秘的事実を見せている。本研究はこの神秘性の底にある事実を追求する事が目的であるが,まず,モンスター単純群の中の2A-involution(インボリューション)の中から適当に21個を取って3元体上のアフィン平面の点と線の隣接関係を示すコクスターダイアグラムを構成できる事が知られていたが,本研究によってこれら21個のインボリューションが26次元のローレンティアンラティスの中のリーチルートを使って自然に定義できる事を示した。さらに本研究を進める事によって宮本はこれら2Aインボリューションが頂点作用素代数の定義や数理物理の共形場理論において重要な働きをしているヴィラソロ代数の表現として定義される事を見つけた。この研究は中心荷電1/2の共形場理論と密接に関係しており,ジョーンズの予想とも関係がある事がわかってきた。この研究がこのヴィラソロ代数の表現を通してモンスター単純群とムーンシャイン加群との間の神秘を説明する重要な働きをなすことは疑いようもなく,さらなる研究の進展を必要とする。
|