研究概要 |
クルスターマン和および高次元クルスターマン和からそれぞれ新しい符号を構成し,佐藤・テート測度ではかつて,その重さ分布の一様性を示した.この重さ分布の一様性がよい符号であるため一つの判定条件であることを確認し,更に,この方向が情報理論の中での佐藤・テート予想の解決に通じる道であろうことも実感した.これからは,この方面でのN.カッツの先駆的仕事とも関連させて研究を続ける予定である.次に,有理点をより多くもつ有限体上の代数曲線を探し,それらから従来よりより信頼度の高い符号を構成する原理を,保型型式論,数論,代数幾何と関連させて再構成し,それらを多変数ヒルベルト型モジュラー多様体から数論的符号を構成する際の基盤にした.更に,一般な代数体上での符号構成についても,差し当たり2次体,円分体上でそれを試みた.これは,マックウイリアムスの恒等式を含むより有用な恒等式達を探すことを目的とした試みである. これらと関連し,フラクタル次元の種々の解析,数学基礎的手法による計算量とその複雑性,組み合わせ論の立場からのパスカル三角形の一般化等の多様な数理科学的方面でも多くの進展があった. 尚,「符号理論と数論」というセミナリー・ノート1(98頁,平松研究室)を作製し,また,情報数理講演会も3回開催した(1995.7:講演者3人;1996.2:講演者1人;1996.7:講演者6人).これらによって,この境界領域での研究者層の拡大にも努めた.
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