研究分担者 |
斉藤 公明 名城大学, 理工学部, 講師 (90195983)
加藤 芳文 名城大学, 理工学部, 助教授 (40109278)
硲野 敏博 名城大学, 理工学部, 教授 (80076645)
飛田 武幸 名城大学, 理工学部, 教授 (90022508)
伊藤 昇 名城大学, 理工学部, 教授 (20151524)
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研究概要 |
4次以上のメタプレクテイツクゼータ関数は、その係数がガウスの和を通じてメビウス関数に結び付くことから、リーマン予想解決のための有力な手がかりになるものと期待されるが,新たな進展を見るためには,数論的関数をなるべく簡単に直接的表示によって統制する手段が不可決である。その方向において,さしあたり手近な例を用いて,具体的な結果を出してみたいというのが本研究の主目的であったが,その目的は一応十分に達成されたといってよい。特に,上半平面上の尖点形式でない保形関数を取るとき,それに対応するゼータ関数の関数等式,特異点等が,元の関数がラプラシアンの固有関数でなくても、わかりやすい表示で得られたため、リーマンのゼータ関数の零点に対応する非尖点形式が,同じ形で統制されることが示された。これはきわめて意味深い結果である。なぜなら,ラプラシアンのような楕円作用素の固有関数は離散的であるのに反し、作用素や固有値によって束縛を受けない保形関数は連続的にとれるため、いわゆる「deformation」のような考え方が可能になるからである。ゼータ関数の零点と,ラプラシアンのような楕円作用素の固有関数とは、古来密接な関係があるのではないかと考えられ,中でもヒルベルトおよびポリアによって1915年頃述べられた意見は有名であるが,実際にそれらの間の具体的関係は,現在まで全く見いだされていない。従って本研究は,リーマン予想に関して,少なくとも新しい研究の道を開いたということができる。研究計画調書の研究目的の欄にも記入しておいたとおり、リーマン予想という問題ははなはだ困難なものであって、早急な解決は期待できないものであるが、本研究の目的は、多少の手がかりをもととして、可能な範囲で考察を試みることであったから、決定的な進展と言えるほどの成果を挙げるまでに至らなかったことはやむを得ないと考える。
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