研究概要 |
オイラー・ポアンカレ標数に関するホップ予想に関して,多くの人達がいろいろな附加条件のもとに研究を続けている.丹野は,閉局所対称リーマン多様体Mの第1種と第2種の曲率作用素の4乗のトレースがある不等式を満たせば,Mのオイラー・ポアンカレ標数は正であることを示した. 森田は,3次元ホモロジー球面に対して定義されるキャソン不変量が,曲面束の第一特性類に同伴する二次不変量として解釈できることを示し,キャソン不変量と曲面の写像類群との間のある深い関係を明らかにした. 森田は,また,曲面の写像類群の構成と代数曲線のモジュライ空間のトボロジーに関するこれまでの諸結果を概観し,いくつかの問題とこれからの進むべき方向に示唆を与えた. 岡は,平面曲線の特異点解消グラフから決まるある不変量が特異点の解消に必要な最小のトーリック・モディフィケーションと一致することを示した. 野口は,コンパクトケーラー多様体上の対数微分のd閉性について,調和積分論を用いた簡明な解析的証明を与えた. 複素射影空間の次数の高い超平面及びその補空間は双曲的であろうという小林予想が1970年に出されたが,存在については複素射影空間の次元が3までしか分かっていなかった.増田と野口は,すべての次元についてそのような超平面の存在を証明した. 空間内の全曲率有限な完備極小曲面のガウス写像の除外値の最大数は2か3であるが,未解決である.宮岡と佐藤は,この問題へのアプローチとして,除外値2のものを多数構成した.特に,コスタ曲面の一般化である2つの無限列からなる曲面族を与えた.
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