研究概要 |
本科学研究費補助金による研究実績は、研究分担者の研究テーマが多岐にわたっているため豊富である。このため研究代表者の実績を中心に述べることにし、研究分担者の実績については次頁の論文一覧を掲載するに留める。 本年度中に公表された研究の内容は、4次元ユークリッドR^4内に、線織的でなく(nonruled),等長的にはめ込まれている超曲面の族を、一個の関数と一個のパラメーターに依存する形で構成することができた。M.DajczerとD.Gromollは、5以上のnについて、n次元ユークリッド空間内の超曲面について、等長的変形可能性に関する大域的な結果を得ている。しかし、n=4の場合は、未解決な問題として残っていた。報告者の研究はこの問題に対する解答である。 次に、この科学研究費補助金によってこの年度中に得られた研究内容は,「余次元が1であるロバチェフスキー(Lobachevsky)空間の間の等長的はめ込みはすべて,n個の関数の高々可算組によってパラメーター表示できる」いうことである。これは、CONNECTICUT大学(米国)のKINETSU ABEおよび一関工業高等専門学校の高橋英則氏との共同研究の成果である。およそ20年前に,野水氏とフェルス(Ferus)は,「臍点(umbilical point)をもたない」という条件の下で,このような等長的はめ込みに関する研究結果を得ている。しかし、この仮定を設けない場合は、そのような等長的はめ込みに関しては、未解決問題として残されていた。我々の得ている結果はこの問題に対する解答である。また,我々が得た結果は,M.Dajczerなどの研究者から指摘されている,「等長的はめ込みから定まるロバチェフスキー空間上のrelative unllity foliationが複雑である」という事情を十分に説明している。
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