研究分担者 |
西谷 達雄 大阪大学, 理学部, 教授 (80127117)
榎 一郎 大阪大学, 理学部, 助教授 (20146806)
満渕 俊樹 大阪大学, 理学部, 教授 (80116102)
真鍋 昭治郎 大阪大学, 理学部, 助教授 (20028260)
梅原 雅顕 大阪大学, 理学部, 講師 (90193945)
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研究概要 |
本研究の研究目的は通常の運転方程式(非線型波動方程式)の解が粘性抵抗無限大の状態において非線型熱方程式型の運動方程式の解に収束することを示すことであった。その第一段階として,Eells-Sampsonの調和写像に対応する半線型熱方程式と半線型波動方程式を考察した. 結論として,目的は達成できた. まず最初に,一次元の半線型波動方程式∇_t∂_tφ+μ∂_tφ=∇_x∂_xφの解に変換τ=μtを施したものは,粘性抵抗μが無限大のとき半線型熱方程式∂_tφ=∇_x∂_xφの解に収束することが証明できた.この場合は,一次元という特殊性で半線型波動方程式の解の存在が知られているため,議論が幾分簡単であるが,下に述べる一般化の本質的な部分は含んでいる. 次に,この結果を一般次元に拡張した.拡張は上の方程式の∇_x∂_xをEells-Sampsonの半線型楕円型作用素Δ^〜に置き換えて行う.この場合は,半線型波動方程式の解の存在が知られていないが,粘性抵抗が十分に大きければ解が存在するということが同時に示せた.粘性抵抗が小さい場合の解の存在は今後の課題である. これらの結果は,解析学における特異摂動の結果の一つである.しかしながら,時間変数に関して非線型の方程式を取り扱っているという点で本質的に新しい.実際の証明は,結果的にあまり幾何学的な論議をせずに行われている.従って,上記の結果も,幾何学的な言葉を用いずに記述できる.おおざっぱに言えば,時間変数での微分に関する非線型性がμの発散に比べて十分小さい半線型波動方程式においては上の結果が成立する.
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