研究概要 |
我々はWeylのConformal Structureの考えをRiemann幾何のみならず,他の幾何学(Kahler geometry,Pseudo-Hermitian Geometry)に展開して,新たな幾何構造と不変量を見つけることを試みた.奇数次元多様体M上のpseudo-Hermitian構造(ω,J),(ω',J')に対し,(ω',J')〜(ω,J)⇔ある正値関数λが存在して,ω'=λ・ω,J'=Jと定めると,共形同値(Conformal equivalence)は奇数次元多様体M上のCR-構造を与える.このとき,この意味における共形不変量(Conformal invariant)はChern-Moser-Webster curvature tensor Sである.((ω',J')〜(ω,J)⇔S((ω',J')=S(ω,J)).Sが消滅(vanishing)するときモデル空間としてSpherical CR-geometry(Aut_<CR>(S^<2n+1>),S^<2n+1>)が現れ,そのときの多様体Mはspherical CR多様体とよばれ,Mは(Aut_<CR>(S^<2n+1>),S^<2n+1>)に関してuniformizeされる. 次に偶数次元の多様体上において,共形構造を考えるために少しKahler構造の概念を弱める。複素多様体(M,J)上のlocally conformally Kahlerian計量gとはHermitian計量であり,Mの開被覆{U_α}_<α∈Λ>の各近傍U_αに対し局所的に与えられたKahler計量g_αと正値関数f_αが存在していて,g|U_α=f_α・g_αを満たすものである.このとき,与えられたlocally conformally Kahlerian計量g,g'に対し共形構造は自然に(g',J')〜(g,J)⇔ある正値関数λが存在して,g'=λ・g,J'=Jとできる.実は共形不変量(Conformal invariant)としてBochner curvatureテンサーBがあることが知られている.((g',J')〜(g,J)⇒B(g',J')=B(g,J)).さらに,Bが消滅する時はモデル空間としてBochner Curvature Flat geometryが現れ,これは次の4っつの幾何学からなることを示した.[1]射影幾何(PU(n+1),CP^n;Fubini-Study metric),[2]相似幾何(C^n〓(U(n)×R^+),C^n;Euclidean metric),[3]双曲幾何(PU(n,1),H^n_C;Hyperbolic metric),[4]射影-双曲幾何(PU(m,1)×PU(n-m+1),H^m_C×CP^<n-m>;Product metric.(m=1,2,...,n-1).そらにB=0となるMをBochner curvature flat多様体といい,Mは上の4っつの幾何学のいずれかに関してuniformizeされることを証明した.またコンパクトの場合,我々は次の分類定理を得た.(M,g,J)を2n次元compact Kahlerian多様体とするとき,もしBochner curvature tensor B=0(n>1)ならば(n=1のときは,tensorQ=0),Mは次のKahlerian多様体の一つと(Kahler計量の定数倍を除いて)holomorphically isometricである.(i)複素射影空間CP^n,(ii)複素ユークリッド空間形(T^n_C/F,(iii)複素双曲空間形H^n_C/Γ,(iv)Fiber空間H^m_C×CP^<n-m>/Γ,(m=1,2,...,n-1).
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