研究分担者 |
立澤 一哉 東北大学, 理学部, 助手 (80227090)
新井 仁之 東北大学, 理学部, 助教授 (10175953)
板東 重稔 東北大学, 理学部, 助教授 (40165064)
高木 泉 東北大学, 理学部, 助教授 (40154744)
加藤 順二 東北大学, 理学部, 教授 (80004290)
|
研究概要 |
この研究課題のもとで,楕円型方程式および放物型方程式を中心とする研究を行なった。 まず,代表者 島倉は,行列空間上のベッセルの偏微分作用素を研究し,ボッホナ-のベッセル函数が行列の固有値に関して対称な整函数であり,1変数のベッセル函数を用いて具体的に書き下せることを証明した。これは近々発表の予定である.また,これとは別に,楕円型偏微分方程式の理論が19世紀の初頭以来どのように発展し,それが解析学および数学全般にどのように貢献して来たかを歴史的にまとめた論説を発表した. 分担者 高木 泉は,数理生物学における形態形成の過程を記述する,活性因子と抑制因子からなる反応拡散方程式系を研究し,軸対称な領域において,活性因子の拡散が十分遅く,抑制因子の拡散が十分早いならば,幾つかの点の小さな近傍に活性因子が集中するような定常解が存在することを証明した. 板東重稔は,複素解析多様体を研究し,ドナルドソン,ウーレンベック,ヤオの結果に基づいて,ベクトル束の連接層の安定性とアインシュタイン.エルミート計量の存在とが同値であることを証明した. 新井仁之は,ブロック函数を用いて調和測度を研究し,複素多変数の擬凸領域におけるブロック函数をベルグマン計量の幾何と拡散過程を用いて特徴づけ,境界におけるその発散の早さを詳細に記述することによって,マカロフの定理を多変数化した. 同じく分担者立澤一哉は,遠方で増大するポテンシャルをもつシュレ-ディンガー作用素の固有値の漸近分布法則を研究し,分布法則の上からと下からの不等式を,この作用素の表象から得られる量を用いて書き表した.
|