研究課題/領域番号 |
06640199
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
解析学
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
田村 英男 茨城大学, 理学部, 教授 (30022734)
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研究分担者 |
堀内 利郎 茨城大学, 理学部, 助教授 (80157057)
初瀬 弘平 茨城大学, 理学部, 助教授 (10007552)
日合 文雄 茨城大学, 理学部, 教授 (30092571)
松田 隆輝 茨城大学, 理学部, 教授 (10006934)
荷見 守助 茨城大学, 理学部, 教授 (60007549)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | シュタルク効果 / 波動作用素 / 漸近的完全性 / 散乱全断面積 / 準古典近似 / 影散乱 |
研究概要 |
微分作用素のスペクトル理論の研究は、微分方程式論、関数解析学、数理物理学にまたがる分野のひとつとして著しい発展を遂げ今日に至っているが、得られた研究成果は解析学に留まらず、数学全般に広く応用され、その研究方法も多岐にわたっている。本研究は、シュレ-ディンガー作用素のスペクトル・散乱理論に関わる次の2つの課題を主に取り扱った。 (1)シュタルク効果をもつ多体系シュレ-ディンガー作用素のスペクトル・散乱理論 (2)磁場をもつシュレ-ディンガー作用素の散乱全断面積に対する準古典解析 (1)多体系シュレ-ディンガー作用素の数学的散乱理論は、Mourreにより開発された正値交換子法とよばれる解析手法によって、著しい進展を遂げた。研究課題(1)では、この方法を一様電場をもつ多体系シュレ-ディンガー作用素(Stark Hamiltonian)に適用し、スぺクトル・散乱問題の数学理論における基本問題となる固有値の非存在、極限吸収原理、波動作用素の漸近的完全性を証明したさらに、これらの結果は遠距離型相互作用をもつ系にも拡張された。 (2)Finite-rangeポテンシャルをもつシュレ-ディンガー作用素の散乱全断面積は、準古典極限において古典的散乱全断面積の2倍に収束する。このことはポテンシャル散乱理論において影散乱と呼ばれている。研究課題(2)では、磁場をもつシュレ-ディンガー作用素に対し、影散乱問題を考察し影散乱が磁場による散乱においては必ずしも成立しないことを数学的に証明した。量子力学では、粒子の運動はmagnetic fieldのみならずmagnetic potentialからの影響をうける(Aharonov-Bohm効果)。上の事実は、Aharonov-Bohm効果の数学的検証のひとつになると思われる。
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