研究分担者 |
須鎗 弘樹 東京理科大学, 理工学部, 助手 (70246685)
渡辺 昇 東京理科大学, 理工学部, 講師 (70191781)
戸川 美郎 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (20112899)
下井田 宏雄 東京理科大学, 理工学部, 教授 (00112897)
大矢 雅則 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90112896)
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研究概要 |
近年における情報通信ネットワークや計算機ネットワークの発展は目覚ましいものがあるが,これらの新しい技術の効果を評価するための理論は不十分な段階にある.これらのネットワークの特徴は,ランダムな時刻にランダムな量の要求が発生することにある.このようなランダムさを考慮に入れたシステムの性能評価ために,従来から待ち行列ネットワークが研究されてきた.しかし,これまでに知られている理論的結果は応用上からは制限の強いものであった.本研究では,ランダム測度,一般化セミマルコフ過程,マルコフ連鎖の逆過程などを用いて,次のように研究を進めてきた.1.複雑な客の到着を表すモデルとして,ランダムな測度を用いたモデル化とその数学的な表現を与えた.また,パルム理論による解析手法を発展させた.2.ネットワークの変化を表す一般的なモデルとして従来から使われてきた一般化セミマルコフ過程を拡張し,集団サービスや客の各ノードでのサービス時間が互いに依存する場合に適用した.3.客のサービスの終了や経路選択がネットワーク全体の状態に依存する場合を表すことができる新しいモデルを提案し,ネットワーク状態の定常分布を求めることが困難な点がどこにあるかを解明し,解析可能なモデルのクラスを数学的に特徴づけた.4.定常分布が解析困難なモデルの条件を変えることにより解析可能なモデルを作り,もとのモデルとの関係を調べた.5.同時に複数の変化が起こる待ち行列ネットワークの解析手法を発展させた. 本研究では,点過程理論とパルム測度の理論を用いた解析を発展させてきたが,これらの基礎的な結果は,今後,他のネットワークモデの数学的定式化においては大変有用である.
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