研究分担者 |
長井 英生 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (70110848)
井原 俊輔 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (00023200)
安本 雅洋 名古屋大学, 理学部, 助教授 (10144114)
松原 洋 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (30242788)
篠田 寿一 名古屋大学, 人間情報学研究科, 助教授 (30022685)
|
研究概要 |
超有限Heisenberg群および超有限次行列環を構成するための超準宇宙の新しい構成法について次の結果を得た.超準宇宙の構成法として,従来,超巾構成法とコンパクト性定理による方法が知られていたが,新たに,ブール代数値モデル内超構造の超フィルターによる同値類を用いる方法を確立した.これにより,超準解析学の手法とブール代数値解析学の手法を統一し,強制法が利用可能な新しい超準解析学の粋組が得られる.その応用として,非(ω.2)分配的な完備ブール代数から得られる実数体のブール超巾は一様構造に関して非完備であることを証明した.超有限Heisenberg群のユニタリ表現論について次の結果を得た.超有限Heisenberg群のユニタリ表現として,従来,Heisenberg Lie群のSchrodinger表現の拡張となるものが得られていた.これは,超有限相空間における(無限小)×(無限小)のスケーリングに対応するものであるが,新たに,(有限)×(無限小)^2のスケーリングに対応するユニタリ表現を構成した.超有限次行列環の超準殻として得られる内的作用素全体のC^*環の表現について,II_1型因子環になるものとFock表現に対応するものとが知られていたが,このユニタリ表現から生成される作用素環は超有限行列環のFock型の表現と同型であることが示された.この同型定期の物理学への応用として次のような個数-位相正準対に対する量子化の方法が得られる.従来の量子化は,Poisson積と交歓子積との対応による,正準交換関係の表現として定式化され,交換子積による表現はそれから生成されるHeisenberg Lie代数の代数表現およびHeisenberg Lie群のユニタリ表現と同等である.しかるに,個数-位相正準対に対しては,適切な交換子積が存在しない.したがって,それと同等なHeisenberg Lie群をスケール拡大した超有限Heisenberg群のユニタリ表現により量子化が達成されるかを調べることは有意義なアプローチである。本研究で得られたユニタリ表現はこの観点からの個数-位相正準対による量子化を実現している.とりわけ,この表現の生成作用素として得られる位相作用素はPegg-Barnettによる有限次元近似の位相作用素の極限とみなすことができる.
|