研究概要 |
自由度無限の系に関する数理を次の3つのテーマについて研究した。 1.多様体(Μ,Ω,Ξ)上のポアソン積の幾何学:可微分多様体Μ上のC^∞-級関数のなす環のポアソン積の定める無限次リ-構造を考察した。まずΜ上の反変テンソル場と1つのベクトル場により定義されるポアソン積の定めるKirillovの局所リー代数を、Μ上の非退化2次外微分形式Ωとベクトル場Ξにより定義されるポアソン積を用いて再構成し、その微分幾何学的構造を調べた。更にΩを定階数の完全2次外微分形式dωに置き換えて得られるポアソン積の定めるリ-構造を調べた。考察の多様体(Μ,Ω,Ξ)は、特にΩ=dωの階数が最大で、Μの次元が奇数のときcontact多様体、偶数のときsymplectic多様体となる。 2.力学系の保存則:2階の微分方程式系F^α(q^^<・・>,q^^・,q,t)=0(α=1,…,m)により与えられる運動の保存則を、ラグランジュおよびハミルトンの構造を仮定しないで、直接導出する手法を考察した。そのための基本となる条件式系を、F^αに新たな変数μ_αを付加して、μ_αF^αの作用積分に関する変数原理より構成し、その解より運動の保存量を直接与える式を得た。特にF^α=0がkinematical形q^α-f^α(q^^・,q,t)=0およびオイラー・ラグランジュ形である場合についてこの手法を詳しく調べた。 力学系の数理的手法:無限次元空間における線形作用素に関して、特にClarkson不等式を一般化し、その応用例を与えた。また、非線形偏微分方程式の解の構造を、無限次元力学系として詳しく調べ、その挙動を明らかにした。
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