研究分担者 |
野寺 隆 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (50156212)
仲田 均 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (40118980)
伊藤 雄二 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90112987)
前島 信 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90051846)
田中 洋 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70011468)
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研究概要 |
本研究の第一の目的は非対称マルコフ過程の大偏差原理のラプラス近似の精密化にあった。これに関してはスイスのBolthausen等と共同して次のような結果を得た。 Eをコンパクト空間とし、E上の確立測度の全体をM^+_1とおく。Ωを道の空間、{P_x}_<x∈E>をxを出発するΩ上の時間的に一様なマルコフ過程の推移確率測度とする。T>0に対して経験確立測l_Tをl_T=(1/T)∫^T_0δω(t)dtとおく。M^+_1上の有界連続関数Uに対しラプラス近似Z_<x,t>=P_x[exp(TU(l_t))]の主要項はDonskerとVaradhanの一般論によりrate関数Iを用いてlim_<T→∞>(1/T)logZ_<x,T>=-inf{F(λ);λ∈M^+_1}(=f_0),F(λ)=I(λ)-U(λ)ともとまる。V={v∈M^+_1;F(v)=f_0}とおきμ∈M^+_1が{P_x}_<x∈E>の不変測度とあるとする。{P_x}_<x∈E>に対応するC(E)上の半群を{P_t}_<t>0>とし、generatorをLとする。rate関数Iは一般にはI(λ)=-inf{∫_E(Lu/u)dλ:u∈aDom(L),u>0}と与えられる。ここで「P_tがμに関し正の連続な密度を持つ」と仮定するとVを含むある確率速度の族に対してIがI(λ)=-(l,Lu)_<μ >,λ(dx)=l(x)u(x)μ(dx)と対称過程の場合と類似の形で陽に表せることが示される。またMをE上のsigned mea-sure全体に適当なノルムを入れた空間とし「UはM上滑らか」であると仮定する。ここで更に「FのVでのHessianは非退化である」と仮定する。すると♯V<∞でZ_<x,T>の展開の定数項は次の様に求められる。Z_<x,T>〜exp(-f_0T)Σ_<v∈v>g_v,但しg_v=u_v(x)∫_Eu_v(y)^<-1>v(dy){det_<L2(dv)>(I-D^2U(v)(G^<1/2>_v・,G^<1/2>_v))}^<-1/2>,G_vはvを不変測度に持つUの一階微分から定まるΩ上のマルコフ過程のグリーン作用素。 また自己相似過程の極限定理に関しては前島がoperator self similar過程の研究を更にすすめ興味深い例とその極限定理を得た。
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