研究概要 |
○ 研究目的: 周期彗星の全数推定と,彗星と惑星との衝突確率を正しく見積もることは,探査機で撮影された天体上のクレータの統計を解析する目的や,地球衝突の危険度を評価する上で重要である.従来、衝突確率は半解析的方法で計算されていたが,周期彗星の場合軌道が非常にカオス的なので,この方法は適用できないことを我々は数値積分を行なって気づいていた.よって,既知の周期彗星の軌道を統計的に数値積分して,正しい彗星と惑星の衝突確率を求め,同時に周期彗星の全数を力学的に推定するのがこの研究の目的であった. ○ 研究の実施: 周期1000年以下の周期彗星228個の軌道進化を,過去/未来それぞれ3万年ずつ,本科学研究費で購入したワークステーションによって軌道積分した.その結果得られた軌道の進化と各惑星への接近を統計的に解析した. ○ 本研究で得られた成果: 1)木星と主に相互作用しているが,近日点距離が遠いために観測されない周期彗星の数は,観測されている短周期彗星の約30倍あることが分った. 2)内惑星と周期彗星との衝突確率は,従来の半解析的方法による評価は10倍〜数10倍,過大評価であることが分かった.
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