研究概要 |
重いクォーク(Q)と軽い反クォーク(q)の束縛状態である重いフレーバーを持った中間子(Qq)の質量レベル、およびこの粒子の崩壊定数や形状因子を計算することが本研究の目的である。まず、この系を記述するFermi-Yang方程式から出発し、そのハミルトニアンを重いクォークの質量m_Qの逆ベキで1/m_Q展開して、Qq系に対する有効ハミルトニアンを作った。そしてQuark PotentialとしてCoulomb+linear型を仮定した場合のこの有効ハミルトニアンに対する固有値方程式を書き下し、数値計算によってその固有値方程式を解き、実験との比較を行った。これまでの成果は第50回日本物理学会年会(神奈川大,3/28-31)及びInt.RCNP Workshop on Color Confinement and Hadrons-Confinement'95-(大阪大,3/22-24,Poster Session)で発表する予定であり、またなるべく早くきちんとした論文として発表するつもりである。この方程式は我々が以前取り扱ってきたアトム型ハドロン(Qq)に対する準相対論的方程式(T.Morii et al.,Phys.Rev.D37(1988)159)とは、v/c展開でなく1/m_Q展開する点で異なっており、いわゆる重いクォークの有効理論(HQET)と素直につながる点で興味深いものとなっている。研究は現在まだ進行中であり、得られた波動関数を使って崩壊定数や形状因子を計算することがこれからの課題であり、現在計算式の検討を行っており、なるべく早く数値計算を行い結果を論文として公表する予定である。
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