研究概要 |
1.研究目的:質量の基本構成要素といわれているクォークとレプトンの統一的理解への手がかりを目指して,クォークとレプトンの質量スペクトルと家族混合の現象論的研究を行い,クォークとレプトンの統一的質量行列模型を模索することを目的とする. 2研究計画とその成果 (1)平成6年度までの成果:小出の荷電レプトン質量公式(1982年)とHarari(1978年)に始まり小出により発展させられたデモクラティック型クォーク質量行列は,Phys. Rev. 誌に発表した論文(1994年)を経て,「デモクラティック・シ-ソ-質量行列模型」として統一される見通しがついた. (2)このモデルによるクォーク質量と家族混合の現象論的な研究は,平成6年度に引き続き平成7年度にも更に精力的に行われ,その成果はZeitschrft Physik Cに出版された.更に詳細な分析を行ったものは,現在投稿中である. (3)平成7年度のこのモデルに基づく現象論的研究の主力は,ニュートリノ質量スペクトルとその家族混合の研究に注がれた.このモデルをニュートリノに適用すると,神岡の宇宙線観測所で観測された大気ニュートリノについての奇妙な現象「ν_μ不足」を無理なく理解できるということが分かった. (4)このような質量行列形を与える質量生成メカニズムについては,U(3)ファミリー・ノネット・ヒグスボゾン模型の概念に到達し,この模型に基づいて期待される新しい物理現象が分析された(Z. Phys. C).
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