研究課題/領域番号 |
06640438
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
武田 三男 信州大学, 理学部, 助教授 (20115653)
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研究分担者 |
笹根 昭伸 信州大学, 理学部, 助教授 (10020679)
石川 厚 信州大学, 理学部, 助手 (40242713)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1995年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 強誘電体 / 構造相転移 / サイズ効果 / ソフトモード / 赤外分光 / TO-LO分裂 / 動的有効電荷 / 薄膜 |
研究概要 |
ペロフスカイト型強誘電体の相転移機構についての電気的相互作用に基づく微視的理論によれば、格子の不安定さは遷移金属と酸素原子に局在する電子の共有性による遷移金属と酸素原子が形作る八面体構造の不安定さに起因する。この電気的相互作用は結晶の次元およびそのサイズに大きく依存すると考え、相転移に関与する強誘電ソフトフォノンの膜厚およびグレインサイズ効果の研究を行った。 スピンコート法によりBaTiO_3薄膜をシリコンの酸化膜上に積層し作成した。原子間顕微鏡等によりグレインサイズと膜厚を測定した。膜厚とグレインサイズの相関は、膜厚が50nm以上の薄膜ではグレインサイズは50nmと変化せずほぼ一定値をとるが、膜厚が30nm以下では膜厚と同程度となる。特に、10nmの試料では直径が30nmで厚さが10nmのデスク状のグレインとなる傾向があることがわかった。FTIRにより赤外吸収スペクトルを測定した。膜厚が50nm程度までは同様にバルク結晶とほとんど同じ吸収スペクトルパターンを示したが、膜厚30nmの試料では全く異なる吸収プロファイルを得た。これらの結果から、膜厚30nm近傍に結晶構造の変化の臨界サイズが存在する可能性が高いことがわかった。 さらに、この微視的理論がペロフスカイト型に留まらず金属と酸素原子が形作る八面体構造を基本単位とする結晶構造を有する強誘電体の構造相転移に広く適応できる可能性をしらべる目的で、TiO_6八面体構造の配列がペロフスカイト型とは異なる六方晶チタン酸バリウムに着目し、FTIRにより反射率を測定した。赤外反射測定スペクトルを誘電関数に4パラメータ形式を仮定してフィッテングした。各格子振動のTOおよびLOモードの振動数、減衰定数および振動子強度等振動子パラメータからTO-LO分裂について、2.56×10^6cm^<-2>とペロフスカイト型強誘電体と同様な極めて大きな値を得た。この巨大なTO-LO分裂から上記の微視的理論が遷移金属と酸素原子が形作る八面体構造を有する誘電体の構造相転移に共通に適応できる正当性を示す重要な結果を得た。
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