研究概要 |
平成6年度から8年度の3年間に渡って,「希ガス中蒸発法や高速希ガス流中蒸発法」と「選択的励起時間分解・空間分解分光法」を結合させて, (1)アルカリ金属のクラスター,超微粒子の生成と光スペクトル (2)半導体超微粒子の励起子,キャリヤ-の量子サイズ効果 (3)反強磁性体超微粒子のスピン波の量子サイズ効果 等を研究してきた.これらの研究で得られた結果を以下に記す. (1)アルカリ金属のクラスター,超微粒子の生成と光スペクトル Li.Na,K.Rb,Csについて制御された条件の下でガス中蒸発を行い,蒸気相の時間分解・空間分解光吸収スペクトルの測定と選択的励起時間分解・空間分解光発光スペクトルの測定等によって,融液面から原子が蒸発し、希ガスとの衝突や蒸発種同士の衝突とエネルギー移動等を介して分子,クラスターへと成長していく事を光学的に明らかにした.そして,共鳴光散乱スペクトルの測定を通して,価電子系の集団運動モードは互いに同じパリティの密接した電子準位の遷移によって特徴づけられていると結論した. (2)半導体超微粒子の励起子,キャリヤ-の量子サイズ効果 高速アルゴンガス流中蒸発法によって時間とともに粒子サイズが増大する半導体(CuCl,CuBr,AgBr,AgI,ZnSe,Ge,PbS)超微粒子ビームを生成し,時間分解分光法を結合させて励起子とキャリヤ-の量子サイズ効果を示す光吸収及びフォトルミネッセンススペクトルを測定した.そして,励起子発光帯のストークスシフトは微粒子系に特有なものである事を確認した. (3)反強磁性体超微粒子のスピン波の量子サイズ効果 MnF_2,Rb_2MnCl_4,CsMnBr_3の固体と超微粒子について光吸収,光散乱,フォトルミネッセンススペクトルを測定した.そして,超微粒子系に特有なスピン波の量子サイズ効果や有限スピン鎖効果,スピン揺らぎの増大等を観測した.
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