研究課題/領域番号 |
06640502
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
笹井 理生 名古屋大学, 人間情報学研究科, 助教授 (30178628)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 水素結合 / ネットワーク / 分子乱流 / 1 / fノイズ / 自己秩序臨界状態 / f ゆらぎ |
研究概要 |
分子動力学計算による分析は、分子の「流れ」の時間的空間的広がりが階層的に分布している、という可能性を示している。このことから、ネットワーク組み替え運動に伴う分子の動きは「分子乱流」とも呼びうる新しい現象であると考えることが可能になってきた。分子乱流の構造を調べるために、ネットワーク構造を格子上の0または1の変数で表した動的モデルが分析された。その結果、(a)ネットワークの組み替えが盛んに起こる領域は局在していて、時間とともにその領域は変化、移動する。(b)ネットワーク構造の空間的変化の規模は階層的な分布をしており、小規模で頻繁な変化と大規模でまれな変化が共存している。(c)氷に近い秩序が発達しかけたり、消えたりする揺らぎがネットワークの大規模な構造変化とエネルギーの長時間変化の原因になっている。などの知見が得られた。 格子模型と平行して、分子動力学計算における構造ゆらぎが分析され、1psecから3psec程度の時間間隔で、氷に近い局所的構造が発達し、また崩壊する、という構造の形成と崩壊のパターンが確認された。局所構造指数という新しい量が定義され、この構造発達と崩壊の時間空間パターンが定量的に分析された。その結果、(a)構造が発達した分子は集まってクラスターを作っているが、このクラスターはバ-コレーションモデルで考察された4本の水素結合を持つ分子のクラスターとは場所、形ともに異なる。(b)構造が発達した分子クラスターは、常温、常圧では線、または面のつながりをもち、大きな塊になることは少ない。(c)構造の生成と崩壊現象は、ラマンスペクトルから推察された2状態描像とコンシステントである。などの新しい知見が得られ、ネットワークの揺らぎを理解するための新しい切り口が得られた。
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