研究概要 |
これまでの残留放射能測定を詳細に検討した結果、同位体比の測定値と計算値の間の食い違いは地上距離が1kmを超えるところにあった試料において顕著であった。これまで加速器質量分析を用いた我々の研究で用いてきた塩素抽出方法を改良し海水塩による希釈なく岩石から塩素を抽出することが可能になった。それは地上距離kmをこえた所の被爆岩石試料中の^<36>cl/cl加速器質量分析に役立つものである。塩素抽出は地上距離1kmを超える所で被爆した岩石試料を入手してから行う予定である。コンクリート試料は100ppm以上の塩素を含んでいた。雨水から混入した塩素は1g試料あたり8mlの純水を使って洗浄することを2回繰り返して除去した。コンクリートから抽出して作成したAgcl試料は、しかしながら別の元素を含んでいた。その元素の除去を現在行っている。タイルは20ppm以下の塩素しか含まず、その塩素に対する加速器質量分析は困難であった。^<41>Ca加速器質量分析を行うためのCa試料は地上距離1kmを超える所で被爆したコンクリートとタイルから作成した。その測定には^<41>Ca加速器質量分析における検出効率が向上することが必要である。^<152>Eu/Eu測定のために現在、1kgのコンクリートからEu元素を抽出中である。^<152>Eu放射能を測定するための予備的な研究を行った結果、簡便なNaI(Tl)検出器を用いて抽出したEu試料からの^<152>Euγ線を測定することができた。これは抽出したEu試料に測定の妨害となる自然放射性同位元素が含まれないことによる。中性子フル-エンスは、我々のこれまでの研究で示したように、同位体比測定とモンテカルロ計算によって評価していく予定である。^<*)> ^<*)>Ruhm,W.,Kato,K.,Korschinek,G.,Morinaga,H.,Nolte,E,(1995)Neutron spectrum and yield of the Hiroshima bomb deduced from radionuclide measurements at one iocation, Internationaljournal of Radiation Biology,68,97-103.
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