研究概要 |
より好条件の素材を選ぶといった観点から,対象地域を四国東部に限定することなく,南西諸島から四国東部まで広げて研究を行った.その結果,以下の結果が得られた. 1.未固結の泥質岩中に玄武岩が貫入することにより,玄武岩と泥質堆積物との間で反応が生じ,泥質物へのSiO2やCaOの富化および泥質物からのK2Oの除去が行われた. 2.東部九州に分布する上部白亜系槙峰層を中心にビトリナイト反射率の測定を行った.槙峰層は,高い平均最大反射率を示す(Romax=5.5〜6.5%).また,槙峰層中のドレライトに含まれる泥質岩ゼノリスは,最大で9%に達する非常に高い平均最大反射率を示す.槙峰層の高い反射率は,玄武岩やドレライトの噴出・貫入に由来する可能性がある. 3.四国東部の白亜系四万十累層群の砂岩は,化学組成の上から北から南に三つの岩石相(I,IIおよびIII)に区分できる. 4.四国東部の白亜系四万十累層群砂岩は,年代とともに基本的により酸性になる.この傾向は,中国地域西部の白亜紀火山活動の傾向と調和的である. 5.白亜紀末に中国地方西部は,広く流紋岩質火山岩類に覆われ,海嶺衝突に先だって海溝域に多量の粗粒砕屑物を供給した.これらの粗粒砕屑物は,付加して日和佐累層などの厚い地層を形成した. 6.三波川変成帯の大歩危砂質片岩は,カンパニアンに堆積した日和佐累層を源岩としていると考えられる. 7.カンパニアンに海溝域に多量に堆積した粗粒砕屑物の一部はOffscrapingして日和佐累層を形成し,一部はより深部でunderplatingして大歩危ユニットを形成した.
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