研究概要 |
1.秩父帯のマンガン鉱石 四国,九州の秩父帯に分布する層状マンガン鉱床に産する高品位の鉱石は主としてブラウン鉱とカリオピライトからできていることが明らかになった。ブラウン鉱は1μm程度の極細粒の結晶でこれらが集まってリング状を呈することが多い。その内部や外側はカリオピライトか、石英からなっている。この組織は生物起源のものと考えられる。この地域は弱広域変成作用を受けており高Caばら輝石、バスタム石、透閃石などが、また熱水変質作用によりNa-Li 準輝石、アレガニ-石類が出来ていることが明らかになった。 2.丹波帯のマンガン鉱石 京都府北部の丹波帯のものによく似た層状マンガン鉱床が多数存在する。これらの鉱山から産する高品位鉱石はチョコレート鉱と呼ばれ,やはり極めて細粒な結晶よりなる鉱石である。これらの鉱石はハウスマン鉱、アレガニ-石、菱マンガン鉱などから出来ているが、ブラウン鉱の仮像を示す場合が多い。これらの鉱物の間はAlを多く含むマンガン緑泥石、Mg緑泥石、ケリ-石などから出来ており、石英やカリオピライトは少ない。このことは初生物質はブラウン鉱と泥質物質と推定出来る。同じような弱変成帯であるが、丹波帯は秩父帯より高い変成度を示すものと考えられる。 3.瓦防子鉱山のマンガン鉱石 中国東北部最大の巨大な層状マンガン鉱床であるが、鉱石が球果状の菱マンガン鉱からなる比較的単純な鉱物組成である。今回の研究により、北部鉱床では鉄が多く、南部では鉄の少ない純粋に近い菱マンガン鉱から出来ていることが明らかになった。このことから北部鉱床は南部鉱床より還元的環境で堆積したものと考えられる。
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