研究課題/領域番号 |
06640620
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
岩石・鉱物・鉱床学
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研究機関 | 東京大学 (1995) 愛媛大学 (1994) |
研究代表者 |
村上 隆 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00253295)
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研究分担者 |
佐藤 努 日本原子力研究所, 環境安全研究部, 研究員
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 長石 / 風化 / 溶解 / 岩石-水反応 |
研究概要 |
長石の変質現象を、実験室と天然での溶解速度の差に注目し、調べるとともに変質が元素の分配に及ぼす影響を二次鉱物から検討した。室内実験では天然のOrthoclase、Anorthite、Albiteの単結晶を使用し、90℃-210℃、3-360日で、脱イオン水を用い、テフロン容器内で実施した。野外での長石の変質と比較するため、愛媛県松山市沖の興居島の露頭より様々な風化度の花崗岩中の長石をサンプリングし、分析した。 溶解はAnorthite、Albite、Orthoclaseの順で、その速度が早かった。ただ反応経路はいづれの長石でも同様で、二次鉱物の生成順で書けば、Boehmite(AlO(OH)、Si-bearing Boehmite、Kaoliniteの順であった。このSi-bearing Boehmiteは本実験ではじめて見いだされた鉱物相である。この相の生成により、溶解速度が常温換算で約3桁遅くなることがわかった。室内実験では通常、平衡から離れた条件で溶解速度が求められるが、天然での長石の溶解速度より最大3桁早くなる傾向がある。今回の実験は、天然での溶解はこのような中間生成物の共存下で起こっていることを示唆している。 花崗岩の風化では、カリ長石、斜長石表面にそれぞれ異なる二次鉱物の形成が見られた。カリ長石では一般にスメクタイトが卓越し、斜長石ではスメクタイトに加え、カオリナイトが卓越していた。斜長石表面でカオリナイトが卓越しているのは斜長石の溶解速度が早く、小さな割れ目や双晶面等の狭い領域で選択的に溶解が進行していくためと考えられる。この結果は鉱物-水反応において、構成鉱物の溶解速度に差があること、反応の領域に差があり、その領域での水組成に差があることによると考えられる。即ち、風化で観察される全体の反応は狭い領域で起こる局所的な反応と必ずしも同一ではない。
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