研究課題/領域番号 |
06640626
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地球化学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久万 健志 北海道大学, 水産学部, 助手 (30205158)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 海水 / 溶存有機鉄錯体 / 有機リガンド / 含水酸化鉄 / 溶解度 / 植物プランクトン |
研究概要 |
1.沿岸と外洋水について、含水酸化鉄の溶解度に対する熟成時間(20℃)の効果では、3-5週間でほぼ一定値を示し、溶解平衡に達したと考えられる。外洋水の溶解度は0.25nM(Fe)と、沿岸水のものと比べ約1ケタ小さい。また紫外線照射した(有機物を除去した)海水では、その溶解度は著しく減少した(【.ltoreg.】0.1nM)。これらの結果は、沿岸水は外洋水に比べ、存在する有機リガンドの錯形成能が強いか、またはその濃度が高い。また外洋水においても有機リガンドの存在を示唆している。2.溶解度に対するpHの効果について、外洋水ではpH5.75-7.3の範囲でpH上昇とともに、溶解度の対数値は直線的に減少し、主なイオン種はFe(OH)_2^+である。pH7.3-8.2の範囲ではpH上昇とともにほぼ一定値を示した。このpH範囲での外洋水における溶解度もまた紫外線照射した海水のものに比べ高く、3価鉄と溶存有機鉄錯体を形成する有機リガンドの存在を示している。3.東部インド洋および西部北太平洋(0-1500m)の各層における3価鉄の溶解度(pH8)の鉛直分布は、次のような特徴がみられた。(1)表面混合層(0-50m)では、その溶解度は高い(0.3-0.6nM)。(2)50-200mで極小値(0.15-0.2nM)を示した。(3)その後の深度では、溶解度は深度とともに徐々に増加するか(0.25-0.5nM)、ほぼ一定値を示した。クロロフィル-a濃度の高い表層で溶解度は高く、植物プランクトンから放出された有機リガンドによるものと推察される。しかしながら、溶解度とクロロフィル-a濃度とは必ずしも相関性はなく、すべての植物プランクトンが放出しているとは考えられない。極小値以下の深層では、生物の分解により放出された有機リガンドによると考えられる。以上の結果から、外洋水においても3価鉄と溶存有機鉄錯体を形成する有機リガンドが存在しており、海洋における溶存鉄濃度を支配する重要な因子であり、生物生産に重要な役割を果たしていると考えられる。
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