研究概要 |
ミセルおよび均一溶液中で、光励起プローブの酸素消光、消光に伴って生成する一重項酸素(^1O_2 ; ^1Δ_g)の燐光の減衰曲線の測定を圧力の関数として行い、ミセル内部のミクロ環境と動的挙動を考察した(総説;材料)。 1.Aerosol OT(AOT)/heptane/水逆ミセル系:(1)Ru(bpy)_3^<2+>を発光プローブ、K_3Fe(CN)_6を消光剤(Q)として減衰曲線を測定し、その解析から、ミセルサイズ、ミセル中の消光速度およびミセル間の衝突によるQの移動速度定数を求めた。それらに対する圧力依存性から、ミセル内部のミクロ環境と消光剤移動のダイナミックスを考察した(J. Phy. Chem.,投稿中)。(2)sodium 1-pyrenesulfonate (PS)の一重項と三重項、tetrasodium 1,3,6,8-pyrenes ulfonate (PTS)の三重項、Ru(bpy)_3^<2+>の酸素消光に対する圧力効果を検討した。PSの一重項、三重項、PTSの三重項は単一指数関数に従って減衰した。観測される消光速度定数に対する圧力依存性から、前者はミセル界面に、後者は中心部の水核に位置すると結論した。一方、Ru(bpy)_3^<2+>の場合、減衰曲線は典型的なミセル形となり、アニオン性のPS、PTSと異なり、減衰曲線は典型的なミセル形となった。得られた速度定数の圧力依存性から、界面と水核の間に位置すると推定した。これらの相で、酸素分子の分布は平衡にあるとして、ミセル中の消光過程を考察した。(3)一重項酸素の燐光減衰曲線の解析:InGaAsピン-フォトダイオードを用いた赤外線検出器を製作し(時定数は約1.5μs)、一重項酸素の燐光減衰曲線を測定し、^1O_2のミセルからの出入りの過程を考察した。 2.水溶性ミセル系:sodium dodecyl sulfate (SDS)とhexadecyltrimetylammonium chloride (CTAC)溶液中で、pyreneと9-acetylanthraceneの酸素消光と^1O_2の減衰曲線を測定しているが、現在、まだ実験を継続中である。
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