研究概要 |
本研究では、シクロネプタトリエン環を含む大環状共役ケトン類、すなわち、一架橋あるいは二架橋[17]-,[19]-,[21]-,[23]-,および[25]-アヌレノン類を合成し、それらの性質を検討した。 (1)同じπ-電子数をもつ単環性アヌレノン類と比較検討した結果、いずれも架橋基をもつ7員環の存在が分子骨格の平面性を低下させ、誘起環電流効果を弱めることが明らかになった。 (2)2と3はカルボニル基の分極によりともに周辺18π電子系を形成するが、2に比べて3の方が分子骨格に存在する歪が小さく、若干強い反磁性環電流効果を示した。 (3)[23]アヌレノン4はCDCl_3中では下に示す単一構造で存在し、CF_3CO_2D中ではいくつかの異性体の混合物として存在する。一方、[25]アヌレノンは、CDCl_3中では7と8から成る約3:2の平衡混合物として存在し、CF_3CO_2D中では8のみの構造異性体として存在することが明らかになった。
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