研究概要 |
超原子価硫黄を含む10-S-3テトラアザペンタレン誘導体,トリチアヂアサペンタレン誘導体およびチアジセレナジアザペンタレン誘導体の合成法を確立し,その超原子価硫黄のアビカルおよびエクアトリアル結合特性を利用して,新規遷移金属カルベン錯体の合成に成功した.その結果は以下の通りである. a)10-S-3テトラアザペンタレン誘導体の合成 3、4、5、6-テトラヒドロ-2(1H)-ビリミジンチオンのジアニオンにフェナシルクロリド,つづいて諸種のアルキルイソチオシアナ-トを反応させると高収率で6、7-ジヒドロ-2、3-ジアルキル-5H-2a-チア(2a-S^<1V>)-2、3、4a、7a-テトラアザシクロベント[cd]インデン-1、4-(2H、3H)-ジチオン(1)が得られた.1と諸種のエーテルまたはチオエーテル鎖を持つジイソチオシアナ-ト(SCNCH_2(CH_2YCH_2)_aCH_2NCS、n=3-6、Y=O、S)との反応は分子内交換反応を起こし,2、3位で環状になった新規テトラアザペンタレン誘導体(2)を与えた. b)トリチアおよびチアジセレナージアザペンタレン誘導体の合成 1、3-ビス(p-置換フェニルチオカルバモイル)-2-イミダゾリジンチオンおよび1、3-ビス(p-置換フェニルセレノカルバモイル)-2-イミダゾリジンチオンを臭素で酸化するとトリチアジアザペンタレン誘導体(3)およびチアジセレナジアザペンタレ誘導体(4)がそれぞれ高収率で得られた. c)ペンタレン誘導体(1),(3)および(4)と遷移金属錯体との反応から新規遷移金属カルベン錯体の合成 テトラアザペンタレン誘導体(1)とM(PPh_3)_4(M=Pd,Pt)との反応ではN-M-SおよびS-M-S型(M=Pd,Pt)の新規遷移金属(II)カルベン錯体を与えた.また,トリチアおよびチアジセレナージアザペンタレン誘導体(3,4)とM(PPh_3)_4(M=Pd,Pt)との反応においても同様に進行しS-M-SおよびSe-M-Se型のカルベン(II)錯体が高収率で得られ,さらに1、3および4とRhCl(PPh_3)_3との反応ではいずれもRh(III)カルベン錯体が得られること、などを明らかにした。 およびJournal of the American Chemical Society に報告した。
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