研究概要 |
光延型反応に利用されている従来の試薬(DEAD-PH_3P)では,反応しない,あるいは反応しにくいとされていた各種求核種を活性化できる新試薬の開発を計画した。その結果を列拳する。 1.新試薬としてアゾジカルボキサミド類ADDP,TMAD.DHTDを開発し,トリブチルホスフィンとの組み合わせが有効なことを見いだした。また安定型ホスホランCMBPを合成し,これが光延型反応に利用できることを発見した。 2.新試薬を用いて,pK_3の大きな求核種の活性化に成功した。例えば,N-メチル_<-P->トルエンスルホンアミド(_PK_a=11.7),N-ベンジルトリフルオロ酢酸アミド(_PK_a=13.6)などの窒素求核剤が各種アルコールと効率良く縮合した。本反応は二級アミンの新しい合成法として利用できる。一方,マロン酸ジエチル(_PK_a=13.3)を用いた反応が進行し,アルコールからの直接的な炭素-炭素結合形成法が開発可能となった。 _PK_aが小さいカルボン酸との反応を利用し,嵩高いアルコールの水酸基の反転に成功した。この目的に最も適合した試薬はTMADで,_P-メトキシ安息香酸を用いることで,従来法では不可能だたフェニルメントールさえも活性化できた。 4.新試薬を(-)-イソイリドミルメンシンの効率的な全合成に利用することで,その有効性を示した。
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