研究課題/領域番号 |
06640722
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機化学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
池田 憲昭 大阪大学, 理学部, 講師 (70176098)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1994年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | 金属錯体 / ルテニウム錯体 / 励起移動 / エネルギー移動 / 電子移動 / 結晶 / 複錯体 |
研究概要 |
代表的な6配位金属錯体であるRu(bpy)_3X_2をとりあげ、結晶中における同種分子間や混晶でのゲスト分子への励起移動について検討し、同種錯体間の比較的遅い励起移動の存在を明らかにした。また結晶中における第二配位圏の励起寿命に及ぼす対イオンや結晶水の結果、さらに反応を誘起する対イオンを相手とした複錯体結晶の電子移動消光について研究した。 まず各種塩の精製した結晶を用いて、励起移動速度の定量的評価を行った。高密度励起による励起子の2分子失活定数から励起子の拡散定数を求め、その値は、およそ10^<-6>cm^2s^<-1>と決定した。この値はエネルギーアクセプター(Os錯体)をドープした結晶の励起移動ダイナミックスから求めたRu錯体間の励起子拡散定数と一致し、精度は高い。対イオンが崇高く錯体間距離は大きなる場合には拡散定数が小さくなり、T-T消失は起きにくくなることが解った。この値は有機結晶の場合と比べて2桁小さく、6配位金属錯体の励起状態は結晶においてある程度移動するが、ほぼ局在しているとみなして良いことがわかった。 錯陽イオン・錯陰イオンの組み合わせを変えて電子移動が起き得るような複錯体結晶を合成し、結晶の発光の消光と電子移動反応のΔG^0の値との相関が明確にあることを示した。発光減衰速度の温度依存性をRu単錯体、複錯体結晶それぞれについて測定することで、高温部での活性化エネルギーから電子移動に伴う再配列エネルギーを求め、その大半が分子内再配列エネルギーであり、対イオンや結晶水の再配列エネルギーの寄与は小さいことが明らかになった。また単錯体結晶で観測される高温での失活過程では結晶水が重要な役割を果たしている事がわかった。 結晶構造との相関について考察するために錯体のX線結晶構造解析を行った。[Ru(bpy)_3)]Cl_2・7H_2O,[Ru(bpy)_3]_2[Co(CN)_6]CI・8H_2Oについて解析が成功し、特に複錯体結晶はキラルな空間群を持つラセミ体である珍しい例であることがわかった。
|