研究概要 |
平成7年度交付申請書に従って、水に可溶で結晶化が可能なDawson型およびKeggin型の修飾ヘテロポリ酸塩のNa塩を担体に用いて、その表面酸素原子上に有機金属カチオン種Cp^*Rh^<2+>(Cp^*=C_5Me_5)を担持させ、相手カチオンがすべてNaイオンからなる新しい担持ヘテロポリ酸塩Na_7[Cp^*Rh・P_2W_<15>Nb_3O_<62>]およびNa_5[Cp^*Rh・SiW_9Nb_3O_<40>]の合成・単離を行った。以下のような新しい知見・成果を得た。 1.Dawson型の修飾ヘテロポリ酸塩のNa塩、Na_9[P_2W_<15>Nb_3O_<62>]・23H_2Oを担体に用いてCp^*Rh^<2+>基を担持したヘテロポリ化合物Na_7[Cp^*RhW_<15>Nb_3O_<62>]の合成条件を詳細に検討した。この化合物はDMSO:CH_3CN=10mL:50mLの混合溶媒中窒素雰囲気下、4時間の還流により生成し、DMSO/EtOAcからの再沈殿を繰り返して副生成物のNaBF_4を除去して精製した。全元素分析、熱分析(TG/DTA)、GLC分析、NMR(^<183>W,^<31>P,^1H,^<13>C)、FT-IRなどのキャラクタリゼーションにより目的物の組成がNa_7[Cp^*Rh・P_2W_<15>Nb_3O_<62>]・7DMSO・5H_2Oであることを決めた。 2.この合成法は従来のBu_4N塩をベースとした合成法とは全く異なっている。 3.この方法を利用して対応するKeggin型のCp^*Rh^<2+>基担持ヘテロポリ酸塩の合成を行った。担体としてKeggin型のNa_7[SiW_9Nb_3O_<40>]・16H_2Oを用いた。特定体積比のDMSOとCH_3CNの混合溶媒(7.2mL:34mL)中、窒素雰囲気下、84℃、4時間の反応で目的物が生成することがわかった。しかし、それはまだCp^*Rh^<2+>基の結合部位に関する異性体を含んでいた。その粗生成物をdry DMSO窒素下、84℃で3時間加熱反応させて、初めてsingle speciesが生成した。DMSO/EtOAcからの再沈殿を繰り返して副生成物のNaBF_4を除去した。全元素分析、NMR(^<183>W,^1H,^<13>C)、FT-IR、TG/DTAなどのキャラクタリゼーションを行って、目的物の生成をNa_5[Cp^*Rh・SiW_9Nb_3O_<40>]・3DMSO・2H_2Oと決めた。
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