研究概要 |
今回の助成金により合成した粒子について,気体分子吸着などの種々のキャラクタリゼイションを行った結果,以下のことが分かった. 1)単分散球状リン酸アルミニウムは,アモルファスで一次粒子が凝集して生成していることが分かった.また,これらの粒子の調製を尿素ならびにイソプロピルアミン存在下で行なうことによって,粒子の大きさを大きくコントロールすることが可能となった.さらに,これらの粒子は水分子を選択的に吸着することも分かった.これは粒子の前処理である真空排気によってアルミニウムイオン近傍に生成するキャビティへの水の水和に拠るものであることが分かった. 2)アミンを添加して生成した様々な形態を持つ単分散ヘマタイト粒子では,球状,立方状ならびに双球状粒子は多結晶体であるのに対して,ダイヤモンド型粒子は単結晶体でることが分かった.これらの粒子には,内部水酸基が含まれており,表面には塩素イオンが吸着し,表面酸性度が高いことが分かった. 3)カルシウムマグネシウムヒドロキシアパタイト粒子のMg含有量が増加すると,粒子の結晶性は低下し,小さな一次粒子の凝集体が生成した. カルシウムヒドロキシアパタイト粒子へのタンパク質(牛血清アルブミン,BSA)の吸着量は,同程度の粒子サイズの粒子ではCa/Pモル比によって増加し,粒子サイズの異なるものでは粒子の大きさ,すなわち露出する結晶面の違いに依存することが分かった. 5)カルシウムヒドロキシアパタイト粒子表面を種々のアルキルリン酸エステルで処理することによって,粒子表面を疎水化することが出来た.また,この処理によって粒子は多孔性となることが分かった. 6)上記の他に,本年度はFeCl_3-HCl混合溶液を100°Cで熟成する際にジメチルホルムアミドを添加して加熱加水分解反応を行うことによって,大きさの異なる単分散ダイヤモンド型ヘマタイト粒子を合成することに成功した.
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