研究概要 |
構造異性体を含む側鎖置換基の異なるポルフィリン化合物を分離し,その分離システムを物理的パラメーターを基に構築した.用いたポルフィリン化合物はアルキルポルフィリン4種,エステルポルフィリン8種である.得られた結果は次の如くである. 1) ポルフィリンの第一還元波と分極率(α)との間には負の相関性があることを明らかにした.第一還元電位はEtioI型(対称構造)のポルフィリンはEtioIII型より約10mV負に移行する.これはEtioI型は対称構造をとり,対称性に欠けるEtioIII型に比べるとポルフィリン環内の電子密度が増加し,還元電位が負に移行することを明らかにした。 2) ポルフィリン化合物の非水溶媒系(エチレングリコール-ベンゼン系,エチレングリコール-ジクロロメタン系,エチレングリコール-ヘキサン系)による液-液抽出分離を行い,分配比(log D)と溶媒の誘電率の関係を検討した.その相関は置換基の疎水官能基に支配されることを明らかにした. 3) ポルフィリン化合物の分子分極率を算出するため,ベンゼン溶媒における誘電率を測定した.その結果エステルポルフィリンではビニル基,エチル基,アルコール基の順に極性が強くなることを明らかにした. 以上のようなポルフィリン側鎖置換基の極性の違いを反映した分離法の構築を行った。
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