研究課題/領域番号 |
06640873
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物生理・代謝
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
下澤 楯夫 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10091464)
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研究分担者 |
清水 利伸 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (60250510)
馬場 欣哉 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (30238232)
水波 誠 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (30174030)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1994年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 非線形 / 神経細胞 / 信号処理 / パルス密度変調 / 白色雑音 / ウィナー解析 / ウイナ-解析 |
研究概要 |
非線形な信号経路として動作する神経系を、情報工学的方法を用いていくつかの要素に分解して、その動作機構を明らかにした。 まず、1)二つの線形フィルタで無記憶な非線形要素をはさんだサンドイッチ構造の各要素を、系の1次と2次のウィナー核からZ変換を用いて推定する方法の精度評価を行ない、神経経路の計測に必要な時間長を明らかにした。2)これを神経系の機能解剖の道具立てとして、昆虫の単眼系を定量的に解析し、神経回路の進化にも言及できた。3)気流感覚神経細胞のパルス密度偏重機構を解析し、ウィナー核が系の統計的な性質を抜き出すことを利用してパルス密度変調器内部のより小さなダイナミクスが見えることを示した。さらに、パルス密度変調が入力の瞬間値だけでなく変化率にも依存するのは、活動電位発生機構の不応期に起因することを示した。4)コオロギ気流感覚系の介在神経細胞への入力経路を調べ、活動電位を出す型と出さない型では異なることを示した。5)サンドイッチシステムの同定法として、新たにラゲ-ル関数を用いてウィナー核を展開する方法を開発し、Z変換を用いる方法の欠陥を克服した。6)介在神経に於けるシナプス入力から活動電位パルス列への信号変換特性を、樹上突起部に白色雑音電流を注入し、同じ電極で膜電位応答を記録する単一電極カリントクランプ法を用いて解析した。その結果、樹上突起部はロ-パスフィルタとして振舞うものの、活動電位発生部はバンドパスフィルタとして振舞うことが明らかとなった。7)ノイズが神経細胞の活動電位発生に及ぼす効果をモデル計算し、神経系においてはノイズは単なる邪魔者ではなく、むしろ信号伝達に積極的に利用されている可能性を示した。 以上の成果はすべて、学会で報告し、一部は原著論文に一部は総説として公表した。詳細は原著論文として取りまとめ中である。
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