研究概要 |
1995年度始めまでに,台湾3産地,インド1産地,インドネシア3産地,パプアニューギニア1産地,アメリカ(ハワイ)1産地,南米スリナム1産地,南米ガイアナ1産地,計11産地から発芽能力のあるミズワラビの奉仕を入手した。南方型と北方型との代表として沖縄県産と千葉県産のミズワラビをそれぞれ選び,それらの胞子と上記の外国産の胞子を培地にまいて配偶体を得,自家受精と交配処理を行った。各産地につき自家受精株1株と交配処理株10株を無差別に選んで栽培し,フォスフォグルコイソメラーゼ(PGI)とフォスフォグルコムターゼ(PGM)についてアロザイム分析を行った。分析の結果,北方型あるいは南方型と自家受精株の中間のザイモグラムを示す株が交雑株ということになる。交配処理株は全部で196株で,そのうち60株は北方型あるいは南方型と自家受精株のザイモグラムが同じため、自家受精株か交雑株かどうか判定できなかった。残りの136株は74株が自家受精株,62株が交雑株であることが判明した。交雑株の出現率が46%というのは,これまでのシダ植物の交配実験では非常に高い値に属する。交雑株62株は現在も栽培中であるが,そのうち38株から胞子を採取することができた。その胞子を人工培地にまいて発芽率を調べたところ,インドネシア1産地は北方型,2産地は非北方型(おそらく南方型)であることが明らかになった。また,台湾の3産地はいずれも北方型であることが明らかになった。さらに,南米ガイアナ1産地は非北方型(おそらく南方型)であることが明らかになった。他の交雑株については、胞子を形成を待って,順次発芽率を調べる予定である。いずれにせよ,本研究で,ミズワラビには少なくとも北方型と南方型の2交配群が世界的に分布していることが明確になった。
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