研究概要 |
本研究では有機エレクトロルミネッセント素子において高輝度白色発光を得ることを目的とした。色素分散ポリマー系素子では、ホール輸送性のポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)に電子輸送性のオキサジアゾール誘導体を30%分子分散し、バイポーラー性とし、発光中心に4種類の発光色の異なる蛍光色素をドープした。このポリマー層を発光層とした素子からは4000cd/m^2を越える高輝度白色発光が得られ、色調もドープする色素の濃度によって制御することができた。発光機構も、使用した化合物のイオン化ポテンシャルの測定により、キャリアトラップ機構やエネルギー移動機構が働いていることが判明した。積層型素子では、1,2,4-トリアゾール誘導体を三層型素子のキャリア再結合制御層として使用することで、ホール輸送層と電子輸送層の両方を発光層として機能させることができた。また、この素子構造において三種類の発光色素を使用することにより、高輝度白色発光が得られた。この場合、発光スペクトルは電流密度の増大に連れて微妙に変化し、積層型素子においてはキャリア再結合領域が電流密度によって異なることが判明した。有機EL材料として用いるホール輸送性ポリマーの合成も行った。トリフェニルアミンやテトラフェニルジアミンを主鎖や側鎖に含有する種々のポリマーをラジカル重合や重縮合により合成し、ホール輸送層として機能することを確認した。これらのポリマーについては今後白色発光素子の開発に使用する予定である。また、白色に欠かせない青色発光色素の合成も行った。1,2,4-トリアゾールにジメチルアミノ基を導入したものが、青色に発光し、電子輸送性を示すことも見いだした。
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