研究概要 |
本研究では,SOI(Silicon on Insulator)構造におけるシリコン結晶薄膜の電気的評価技術を確立し,その結晶膜中の欠陥と界面準位の物性を解明することを目的としている。本研究の実績概要は以下の通りである。 1.過渡電流DLTS法から、欠陥の情報を得るための検出原理を構築し、エネルギー準位、欠陥密度を算出する手法を導いた。 2.測定計のノイズ対策を充分に施し、高感度過渡電流DLTSシステムの開発を実現させた。 3.電流DLTSを市販の金添加p^+nダイオードに適用した。これにより、電流DLTSは容量DLTSと同程度に欠陥の評価に有効であることを示した。 4.SOS(silicon on sapphire)基板に対して、電流DLTS法を適用した。得られたシグナルの幅は広く、多数の欠陥準位から構成されていると考えられる。その主要な欠陥準位は、Ec-0.123eVおよびEc-0.333eVである。また、容量DLTSではこの様な信号は観測されないので、薄膜の電気的欠陥評価には、電流DLTSが非常に有効である。 5.SIMOX(separation by implanted oxygen)基板に対して、電流DLTSを適用した。SOSと同様に、得られたシグナルの幅は広く、多数の欠陥準位から構成されている。その主要な欠陥準位は、Ev+0.15eVである。
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