研究概要 |
(1)機能性材料の非線形特性の動的(断熱的)測定装置のシステム化と高精度化. 交番印加応力及び電界に対する物質の誘電率及び音速の動的変化の精密計測法を一括したシステムとしてまとめ,現在得られている測定可能最小変化率の分解能を更に1桁から2桁向上させた.また,特に開発が遅れていた印加応力による誘電率変化の動的測定システムの開発にも成功した. (2)圧電セラミックスの非線形定数(電歪定数)の定量評価とその独立数の減少の証明. 本研究者は既にマクロな立場で等方性の物質に自発分極やその他の方法で一軸異方性を与えた場合の線形及び非線形性の出現機構の理論的解明を行っており、その近似的な独立数が減少することを発見し,線形定数については実験との良い一致を見ている.そこで圧電セラミックスを被測定材料に選定し,前項で完成した測定システムを用いて,その非線形定数の1つである電歪定数を測定し,これらの定数に於いても前記理論が成立し,その独立数は群論から予想される∞mm系の6ではなく2で良いことを証明した. (3)非線形誘電率顕微鏡の開発. 一連の本研究の成果として,線形誘電率(2階のテンソル量)は材料の永久分極の状態や結晶性にあまり大きく依存しないが,非線形誘電率(3次の誘電率:3階のテンソル量)は極端に大きく依存することを見いだした.そこでこの原理を応用し,新たに開発したプローブを用い,非線形誘電率のミクロな分布の計測から材料評価を行える全く新しい顕微鏡を考案試作し,その動作の基本特性を明らかにした.
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