研究概要 |
レーザー顕微鏡の下で引張-圧縮の軸荷重を負荷できる,『小型横置電気油圧サーボ疲労試験機』を製作し,その場観察システムを改良することを第一の目的とした.改良されたシステムの特徴を以下に示す.(1)最大【.+-。】98kNの軸荷重を負荷しながら,試験片表面を大気中で高倍率(最高6000倍)かつリアルタイムで観察できる.(2)荷重ないしは変位制御が可能であり,疲労試験時の加振周波数は0.001Hz〜数10Hzである.(3)試験機を大型の精密XY自動ステージの上に載せることで,パソコン操作により観察視野は2ミクロンピッチで移動できる.Y(荷重)軸方向の移動は,試験機のピストン変位と同期させることで,試験中でも常に静止した状態で観察できる.(4)特殊な回転治具をセットしているため,試験片の全周を観察できる.本研究の第二の目的は,上記システムを用いて,金属間化合物TiAlの疲労破壊に至る過程を微視的に観察することである.Ti-33.6wt%Alを用いて,応力比R=-1・正弦波荷重下で疲労試験を行いS-N特性を調べるとともに,一部の試験片については表面観察を行った.その結果,常温ではほとんど塑性変形しないTiAlであるが,微視的には結晶粒(γ-TiAl)単位で塑性変形の痕跡であるすべり(単一すべり.二重すべり,双晶変形)が観察された.一部の結晶では,応力繰返し数の増加とともに,すべり変形が進行・累積するのが観察されたことから,TiAlの疲労は通常の金属材料と同様,結晶粒単位の微視的な塑性変形が累積した結果もたらされることがわかった.以上より,今回改良を加えた『レーザー顕微鏡式その場観察システム』は,正常に作動し,材料の微視破壊挙動の直接観察に威力を発揮することが確認できた.今回製作した試験機は将来,環境槽を取り付けられるよう設計されているため,大気中だけでなく水中や高温中でも,その場観察できる.
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