研究概要 |
昨年度薄壁形状部品の高精度・高能率加工法として提案および試作した平行2軸回転装置および工具を用いて,各種条件により切削実験を行った.各実験においては,薄壁の裏面および表面における切削力および加工誤差を測定しており,今年度においては,工具の直径を変化させて壁の厚さを変化させるとともに,上向き切削と下向き切削による影響および前加工の方法により影響を含めて実験を行い,平行2軸回転工具による切削特性を明らかにすることを目的としている.また,通常の1軸加工用チャックおよび試作装置の1軸のみの使用による加工も行い,加工誤差の差の比較も行っている.その結果,2軸加工において,壁と直角なy分力がほぼ相殺され,xおよびZ分力は逆にほぼ倍増する.加工誤差は1軸加工において生じていた工作物の変形による誤差が,2軸加工においてはなくなるため加工誤差は反作用力による工具の変形によるものである.下向き切削において最大値が生じる高さ20mmにおいて2軸加工により誤差はほぼ半減している.しかし,刃先で仕上げられる壁の下面では最も大きくなるが,主軸系の剛性の差により裏面と表面で誤差の大きさにさが生じることを示した.さらに,工作物の形状を薄壁からハニカム形状を想定したモデルに発展させ,FEMによる工作物および工具の要素分割を行うとともに,実験により得られた切削力を用いて静的変形解析を行った.その結果1軸加工における加工誤差の計算値と実験値はほぼ一致しており,加工位置および加工の順番による加工誤差の変化を精度よく予測している.一方,2軸加工の場合も加工誤差は工具および主軸系の変形のみに依存するが,計算値と実験値はほぼ一致しており,計算方法の妥当性が示された.
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