研究概要 |
ツイストドリルの連続送り深穴加工で切りくずを加工穴から排出させるには,折断型切りくずや細かい切りくずは溝に詰まるため,連続型で溝に納まる形状であることが必要である。ドリル加工で発生する切りくず(自由生成)は円すいらせん型であり,この切りくずを溝や穴壁の拘束により溝の中に納まる直径の円すいらせん型とするか,ピッチを溝のピッチに等しい長ピッチ型にすることである。 従来型のツイストドリルは主切れ刃が長くて半径方向からのずれが小さい。そのため二次元的な切削となり,自由生成の切りくずは小ピッチの円すいらせん型となる。上述の条件を満すための切りくずの変形制御は,いずれの型に変形させるのも非常に困難である。 新型のツイストドリルでは切れ刃を互いに独立して切削を行う内切れ刃と主切れ刃で構成し,内切れ刃で半径の1/2,主切れ刃で外側の1/2(切削体積は3/4)を切削するようにし,両切れ刃から生ずる切りくずは一体ではなく,主切れ刃から生ずる切りくずに対し,内切れ刃からの切りくずを付随させる。これが切りくずの変形,排出制御の基本となっている。そして主切れ刃は半径方向とのずれが大きい(傾斜の切削の角度が大きい)ため,自由生成切りくずは円すいらせんのピッチが大きく,深穴加工では溝形状によりこのピッチをさらに長くして長ピッチ型に制御される。 溝壁面(切れ刃側と対向側)の位置を変えたドリルによる実験の結果,主切れ刃単独の性能としては傾斜切削の角度は大きく,切れ刃形状は直線,その長さは短かくするのがよい。内切れ刃単独の性能は短かい方がよい。両者のバランスとして半径の1/2程度がよい。
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