研究概要 |
衝撃による工具過渡振動の減衰と工具損傷との相関性を利用する工具損傷監視方法は,従来,衝撃の大きさを一定不変に制御することが困難なため監視精度が充分でなく,また相関関係の根拠も明かではなかった.本研究は,衝撃発生機構および計測系を改良して計測精度の向上をはかるとともに,旋盤外丸加工を対象に,工具損傷と過渡振動との相関関係を詳細に研究して,現象のメカニズムの解明をはかり,工具損傷のインプロセス監視方法の確立に寄与しようとするものである. 1.まず加工需要の多い炭素鋼S35Cおよびダンピング特性の著しく異なる鋳鉄FC20について種々の切削条件で切削実験を行い,診断パルス(衝撃)による過渡振動と工具損傷との相関関係を調べた.その結果,どちらの被削材でも切削中の工具の過渡振動(加速度)および減衰と工具逃げ面摩耗が密接な相関性を有することを確認した. 2.基準の診断パルスを与えた工具および工具台の振動特性を詳細に分析した結果,本研究の工具損傷センシング方式では工具を15Nm以上のしめつけトルクで固定することが望ましいことが分かった. 3.制御しやすい工具台付属型の小型電磁式衝撃発生機構を試作し,その特性を調べた.その結果,診断パルスの変動原因をさぐり,その対応策を明らかにし,監視精度を向上させた.
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