研究概要 |
FMEAでは、劣化モードの特定,それによる機能故障の推定を行う必要があり,このような作業の計算機支援を目的とした設備モデルの検討を行った.ただし,このような設備モデルは,FMEAのみで利用されるものではなく,設備のライフサイクルを通じた管理の基本データを考えるべきである.そのような観点から,設備モデルに要求される事項として,a)設備に関する基本的情報の記述,b)階層構造の表現,c)各種情報の付加の3点を考え,設備モデルの構造を定義した.設備モデルの基本としては,実体との対応をとりやすく,解釈の任意性が少ない,部品組立構造を用いた.組立構造は,組立要素と組立関係で実現した.組立要素は,設備の中の物理的な実体を表し,部品と形状特徴が含まれる.部品は,独立した物理的実体とし,組立品は,複数の部品または組立品に分解可能な部品と定義した.形状特徴は,ピンと穴のように異なる部品に属する他の形状特徴と組み合わされて組立品を構成する.組立関係は,二つの組立要素間の関係を表し,接続関係と構成関係とがある.接続関係は,互いに包含関係にない二つの組立要素の間の関係を表し,接続関係は,それが属する上位の接続関係の情報も持つ. 組立要素および組立関係には,任意の技術情報を属性として記述できる.今回は,劣化解析を想定して,各要素の属性を定義した.また,設備モデルの基本要素に情報を付与するだけでなく,基本要素の集合に対して情報を付与したい場合を想定し,グループを定義できるようにした.グループは,任意の組立要素と組立関係の集合として定義され,それに対して種々の情報が記述できるようにした. 以上の設備モデルを,対象指向エキスパートシェル上に実装した.また,設備モデルの応用として,劣化モード予測システムを作成し,設備モデル上の個々の形状特徴に生じる可能性のある劣化モードの予測を行えるようにした.
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